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無理ゲー「少子高齢化」の裏攻略本
つかもっちゃん高橋さん、レコメンド。

編集によって殺された「超AI時代」が落合氏とのファーストインパクトだったので、期待値のハードル低めで読んだのですが、目から鱗が出てきたよ!(評価は3ですが)

一言でいうと、

人口動態嘘つかない、という現実の荒波の中で
うまく息継ぎできていない人に贈る、救命道具



特徴は、少子高齢化の現場で「このゲーム、詰んでる・・」と絶望の汗を流している人に、精神衛生上欠かせない知的塩分補給をしてくれる点です。


少子高齢化は危機ではなくチャンスだ!(ロボットだ!)

という著者の世界観は多少のツッコミどころはあれ、希望の灯火になることでしょう。

文章も非常にアーティスティックで、思考がおねむの人を叩き起こすのに十分なカフェインを含有。読書って基本ダウンローディングだと思うんですけど、本書はちがう。長く読み継がれてきた古典のように、文章を噛み締めるごとに「〇〇な場合どうだろう」「自分に当てはめるとどう見えるだろう」と、疑問文が頭の中を駆け巡ります。効力は第4章までだったけどね。

あと、見所は注釈。
読者がすでに知っていること、自力で調べられることについても、著者なりも視点でキーワードを要約しており、一見の価値あり。テレ東×池上彰「選挙特報」のテロップ紹介文を彷彿とさせます。ちなみに、本居宣長は「古事記、源氏物語、日本語の研究をし、「もののあはれ」というコンセプトを提示しました」。


IT鎖国によって、アリババやテンセントが生まれた、という指摘にも「言われてみれば!」と。10年前は、「中国政府、時代に逆行してんな。クスクス」と思ってたんですけど、世界で勝負できる企業を育てる選択肢として、非関税障壁は威力絶大だなと咀嚼しました。とはいえ、中国のような自前巨大市場をもっていて、国際法無視の図太さがないといけないんでしょうが。



もうちょい、感想、言わせてください。


士農工商を日本版カーストと定義し、最下層カースト「商」に分類される金融やメディアなどを持ち上げる日本の超拝金主義は問題だと、著者は指摘しているんですが、読んでいて、新興財閥のダークホースだった鈴木商店金子直吉を思い出しました。
金子も、金融は虚業である(事業ではない)として、グループ傘下に銀行を作らず、台湾銀行をメインバンクにしました。が、昭和恐慌で資金調達に難儀し、鈴木商店は潰れます。そんな歴史の一事実を顧みると、ある程度の商は必要だよなと思いました。もちろん、著者は商の存在を否定しているわけではなくて、「みんな商に偏食しすぎ!」が本論なんですけどね。仮想通貨関連業とか、商カテゴリーに入るのでしょうか。


他、思ったことを列記。

・人口減社会が機械化に対するアレルギー、ハレーションを抑える、という視点は説得力あり。そして、そんな人口減少社会の中で揉まれたロボティクス関連産業は輸出の目玉になる、という展望もちょっと希望を与えてくれる。

・トークンエコノミーが非中央集権の魁になる、という議論は、インターネットが勃興した時とどこがちがうのだろう。

・基本的に超人の発想なので、例えば「教育」の章で提言していることをメジアン以上の家庭ができるかというと疑問。著者の意図は「こんな学び方もありじゃないか」という問題提起でよいのだけど、その根拠である自身の幼少教育が貴族的すぎる。3歳から6歳まで、月曜はピアノの家庭教師につき、火曜日は東大の院生に算数を習い、水曜日は公文式、木曜日は実験教室に通って、金曜日は隣に住んでた画家と一緒に絵を描くとか。「ヨア、ハイネス」って思わず言いそうになっちゃった!



以上。ごちそうさまでした。
先ほど述べたように、日本では今、機械化が正義ですので、大企業も機械化の方向に舵を切れます。イノベーションを担当する部門が、機械化を推進できるのです。かつての目本では人が増え、さらに余っていたので、従業員を減らして機械化に踏み切るのは難しかったのですが、人口減少時代には、機械化をしてもハレーションが起きにくいのです。
 おそらくほかの国であれば、機械化にあたって、大企業とベンチャーの対立が起きると思いますし、その構図でしかものを見られないでしょう。しかし、日本は、大企業が業態変換しても誰も文句を言わないでしょうし、大企業とベンチャーがうまくコラボレーションすることもできるはずです。日本の大企業は体力がありますので、大きく投資できます。しかも機械化により利益率が上がるのが見えているので、投資としてもリターンが高い。(p158-159)



 僕が今もっとも投資をしているのは、学生の人材教育です。僕のラボには45人の学生かいますが、この規模は国立大学の中で相当でかいです。当初は5年間で50人を育てることを目標にしていたのですが、今は4、5年で最大100人まで育てようと思っています。もし落合マフィア(paypalマフィアのメタファーです)が100人育てば、明らかにとがった変な人間が社会に溢れることになります。その人たちが生む資産価値や市場価値ぱ異常に大きくなるはずです。
 人間への投資はもっとも価値が高い投資です。企業の寿命はどんどん短くなっていますが、人の寿命ぱどんどん長くなっています。一人の学生を育てれば、その学生が長期間にわたって世の中に対して価値を生み出してくれます。時代の転換期においては、学生を育てるほうが早いですし、効果的なのです。だからこそ僕は、世間の投資家が学生には見向きもしない中、学生を投資価値があるところまで育て上げることに意味を感じているのです。
 きっと吉田松陰も福沢諭吉も、同じような思いで私塾を立ち上げたはずです。松下村塾や慶慮義塾への投資効果は圧倒的です。明治の偉人たちは、ほとんどがこの2つの塾から生まれています。明治期や現在のような時代の変革点において本質的に必要なのは、投資価値のある人間を育てることなのです。
 よく現役を引退した後に教育に携わる人がいますが、むしろ若いときにこそ、後進の教育に力を入れたほうがいいと思います。僕が今、学生に投資すれば、学生が育っていくときに僕も育っていくので、一緒に時代を変えていくことができるからです。(p249-250)
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