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お金2.0 新しい経済のルールと生き方
新しい働き方、共同体、経済圏を創ろうとしているんだけど、ざっくり世の中の方向性はどっち向いてるの?と迷子になっている人向け。

著者のブログ。
「お金2.0」で書いてあることを、もう少し文字量多めに書いている。というか、ブログの記事を本にドリップした感じなので、やっぱり、「お金2.0」を読むのが一番てっとり早い。「採れたて新鮮な佐藤さんの思考が欲しい!」という方は、ツイッターもおすすめ。

佐藤 航陽のブログ
http://katsuaki.co/?author=1

著者ツイッター
https://twitter.com/ka2aki86

ブロックチェーン、IoT、仮想通貨など、ぱっと見、関係なさそうなキーワードも「分散化」という同じムーブメントなんだよということを教えてくれて、「そっか!目から鱗!」って気分になった。

「お金2.0」が何より優れているのは、専門用語を意図的に使わないように書いてくれていること。


ロジックのATフィールドが弱いのです。つまり、人に優しい。

しかも、にくいなーと思うのは、「で、実際、具体的にどんなサービスやムーブメントが起きてるの?」という当然の疑問にたいして、胃もたれしない程度に事例を紹介してくれて点。

AIとブロックチェーンで自動運用される無人のヘッジファンド「Numerai」とか、「え、マザーコンピューター?手塚の?」ってビビった。これはファンタジーじゃない。実際にこの瞬間も稼働しているんだ…

ぼくはといえば、自分の価値を上げる職場環境に恵まれているので、地道に価値を揺籃していきたいと思います!以上!
 ゲームの存在は、目に見える「リターン」がなかったとしても、仕組みによって人間脳の報酬系は刺激されて快楽物質を分泌し、特定の行為に熱中するようになる証明とも言えます。ゲームを作っている人がこうした脳の仕組みまで理解して設計しているわけではもちろんないと思いますが、結果的にヒットするゲームには、報酬系を刺激する要素が必ず含まれます。

 つまり、金銭的な対価を一切求めずに、経済システムを作ろうとするとゲームに近づいていくことになります。昨今の優れたサービスや組織が、ゲームの手法を真似た「ゲーミフィケーション」を取り入れているのを見てもわかる通り、ゲームというものが私たちの脳を直接的に刺激する仕組みを凝縮したものであることは間違いありません。
 現在、先進国ではものもサービスも飽和状態にあり、商品を売るだけでは人々を惹きつけることができなくなりつつあります。
 物を持たないで生きる「ミニマリスト」が多くなっているのを見てもわかる通り、ものの魅力はどんどん下かっていっています。多くの人が娯楽や体験を通した精神的な満足に対して魅力を感じるようになってくると、ゲーミフイケーションや脳の報酬系への理解が経済活動にますます求められる時代になっていくでしょう。(p88-89)




今起きているのはあらゆる仕組みの「分散化」

 では、お金や経済の世界において最もインパクトのある現象、大きな変化の流れとは何でしょうか? もちろん100年という単位で考えると難しいですが、これから10年という単位で考えれば、それは「分散化」です。

 「分散化」とは一部の業界を除いて会話で使われることは滅多にありませんが、これは既存の経済や社会のシステムを根本から覆す概念です。

 なぜなら、既存の経済や社会は、「分散化」の真逆の「中央集権化」によって秩序を保ってきたからです。組織には必ず中心に管理者が存在し、そこに情報と権力を集中させることで、何か問題が起きた時にもすぐに対応できる体制を作ってきました。そしてこれが近代社会では最も効率的な仕組みでした。

それは近代社会が「情報の非対称」を前捉に作られているためです。情報が偏って存在し、それぞれがリアルタイムで完全に情報共有できないことを前提に、代理人や仲介者を「ハブ」として全体を機能させてきました。
 必然的に″力″は中央のハブに集まるようになります。現代で大きな影響力を持つ組織を眺めても、このハブが重要な役割を担ってきたことがわかります。

 国家においては政府に、議会政治であれば代議士に、企業であれば経営者に、物流であれば商社に。近代社会では情報の非対称性が存在する領域に仲介者や代理人として介在することで、情報の流通を握り権力も集中させることができました。そして、この情報の非対称を埋めるために代理人として介在すること自体が重要な「価値」でした。

 ただ、現在は全員がスマートフォンを持ち、リアルタイムで常時繋がっている状態が当たり前になりました。これからは人間だけでなく、ものとものも常時接続されるのが当たり前の状態になります。私はこれを「ハイパーコネクテイビテイ)と呼んでいます。

 この状況がさらに進むと、オンライン上で人と情報とものが「直接」かつ「常に」繋がっている状態が実現します。そうすると中央に代理人がハブとして介在する必然性はなくなり、全体がバラバラに分散したネットワーク型の社会に変わっていきます。
 この状況では、情報の非対称性は消えつつあるので、間に入っている仲介者には価値はありません。むしろ情報の流れをせき止めようとする邪魔者になってしまいます。

 そうなってくると、これまで力を持っていた代理人や仲介者はどんどん価値を提供できなくなっていき、力を失っていきます。分散化が進んでいくと情報やものの仲介だけでは価値を発揮できず、独白に価値を発揮する経済システムそのものを作ることができる存在が大きな力を持つようになっていきます。

 つまり、この「分散化」という現象は近代までの社会システムの前提を全否定する大きなパラダイムシフトであり、中央集権的な管理者からネットワークを構成する個人への権力の逆流、「下克上」のようなものです。(p112-114)




 世の中に膨大なデータが溢れたことで進んでいく「自動化」と、ネットワーク型社会に移行することで起きる「分散化」という2つの大きな流れは、今後の10年を考える上で非常に重要になります。
 そして、この2つが混ざった時に起こる「自律分散」というコンセプトが、多くの産業のビジネスモデルを覆すことになると私は思っています。
 「自律分散」とはあまり聞きなれない言葉ですが、全体を統合する中枢機能を持たず、自律的に行動する各要素の相互作用によって全体として機能する仕組みと定義されています。これだけだと何を言っているかわかりませんが、前述した自然界のように、絶対的な支配者や管理者がいるわけでもなく、個々の存在がバラバラに行動しているはずなのに、うまい具合にバランスを取りながら回っているシステムのことです。

 典型例がインターネットやビットコインです。インターネットもビットコインも管理者はいません。しかし、問題があれば世界中の人々が頭をひねりながらアイディアを出して良い方向に持っていくように工夫します。それはまるで全体で1つの生き物であるかのようです。

 ブロックチェーンなどの技術が中央集権的な多くの組織・事業・システムを分散化し、ディープラーニングなどの自動化技術が人間の代わりに全体を自動最適化するように動き、この自律分散型の仕組みが次世代の成功モデルとして普及していく可能性が高いです。

 そしてシェアリングエコノミー、ブロックチェーン、深層学習、lOTなどは今は一見づフづフな技術トレッドのように見えますが、自律分散型の仕組みを実現するパーツであったことが徐々に明らかになってくると私は思っています。(p135-137)




 つまり、今起きていることは、お金が価値を媒介する唯一の手段であったという「独占」が終わりつつあるということです。価値を保存・交換・測定する手段は私たちがいつも使っているお金である必要はなくなっています。

 価値をやりとりする手段が現在の国が発行する通貨以外でも可能になると、ユーザーは自分にとって最も便利な方法を選んで価値のやりとりをするようになります。それが国の発行する通貨なのか、企業が発行するポイントなのか、ビットコインのような仮想通貨なのか、はたまた価値の直接交換なのかは人によって違うでしょう。

 手段の多様化により人々が注力するポイントが「お金」という手段から、その根源である「価値」に変わることは予想できます。価値を最大化しておけば、色々な方法で好きなタイミングで他の価値と交換できるようになっていきます。「価値」とは商品のようなものであり、「お金」とは商品の販売チャンネルの1つみたいなものです。

 例えば、貯金ゼロ円だけど多くの人に注目されていてツイッターのフォロワーが100万人以上いる人が、何か事業をやりたいと考えたとします。すぐにタイムライン上で仲間を募り、クラウドフアンディングを通して資金を募り、わからないことがあればフォロワーに知恵を借りられます。

 この人は、″他者からの注目″という貨幣換算が難しい価値を、好きなタイミングで人脈・金・情報という別の価値に転換することができます。1億円の貯金があることと100万人のフォロワーがいることのどちらが良いかは人によって答えが違うと思いますが、ネットの普及で自分の価値をどんな方法で保存しておくか選べるようになってきています。(p155-156)




海外の一部の機関投資家は、企業の従業員の満足度調査のデータを投資判断の参考に取り入れているらしいです。これは非常に理にかなった話で、ITなどの企業は財務諸表を見ていても、企業の競争優位性となる価値が一切反映されていないので、その企業の将来性を予測することは難しいのです。
 ものを扱わない企業、特にネット企業にとっては「人」が重要になります。優秀な人材が入社してくれて、やりがいを持って働いてくれるかどうかに企業の成長はかかっています。
 シリコンバレーでもグーグルやフェイスブックやアマゾンなどが、優秀な人材に来てもらうために様々な福利厚生を充実させて、人材獲得競争を繰り広げています。優秀な頭脳が集まる企業は革新的なサービスを打ち出し次世代を牽引することができ、優秀な人材が逃げてしまった企業は時代に取り残されて淘汰されていくのがITの世界です。
 3年以上の中期的な成長を予測する上で、その企業がどれだけ人気かおるのか、そしてそこで働く優秀な人たちは満足しているかどうかの数値をもとに、投資を判断するのは非常に理にかなった手法と言えます。
 もしかすると将来的には従業員満足度のようなデータも「資産」として認識され、企業価値に織り込まれる日が来るかもしれません。(p158)




 従来の価値は消費の観点からの使用価値をもっはら扱ってきましたが、裕福になるにつれてものもサービスも飽和して消費や使用の重要性は減っていきます。一方で、興奮や共感などの精神的な充足や、社会貢献活動などの重要性は若者を中心にどんどん高まっています。
 良い大学を出た超一流企業にも就職できるエリーートがその道を選ばずにNPOや社会起業家などに専念するのは、資本主義的には非合理的な選択に見え圭すが、価値主義的には合理的な意思決定とみなすことができます。

 あらゆる「価値」を最大化しておけば、その価値をいつでもお金に変換することができますし、お金以外にものと交換することもできるようになります。お金は価値を資本主義経済の中で使える形に変換したものに過ぎず、価値を媒介する1つの選択肢に過ぎません。(p164-165)



 最近、いくつかの会社で導入されている仕組みに、社内通貨があります。通貨の設計は企業によって違いますが、社員が毎月一定の社内通貨を保有していて、それを同僚に感謝の印として付与できるという仕組みにしているところが多いです。
 これによって忙しい時に手伝ってくれた人や、他部署にもかかわらず協力してくれた人に対して「投げ銭」のような形で気軽にSNS上で付与できます。もらった通貨は後で経理で精算して給与に換えることができますし、貯めて他の人にあげることもできます。
 この仕組みでは仕事を作ってくれた人に対する「感謝」という内面的な価値を通貨として扱い、社内のみで独白の経済システムを作っています。もちろんお金が欲しいからえて手伝っているという人もいるかもしれませんが、給与に比べれば微々たるものです。むしろここでの社内通貨はメンバー同士の人間関係を円滑にするための潤滑油のような働きをしています。

 誕生日プレゼントやお土産も、実用性としての価値が重要なのではなく、気にかけてくれているという好意そのものが価値であることとよく似ています。

 このように、これまで可視化することが難しかった人間の内面的な価値も、データとして可視化して流通させることが容易な時代になってきています。(p171-172)




 なぜ多くの人が評価経済や信用経済に対して違和感を抱くのかというと、今話題になっている大半の仕組みが「評価」や「信用」ではなく、「注目」や「関心」に過ぎないから、ということがまずあげられます。
 ネットのインフルエンサーが集めているのは、興味・関心・注目であって、世の中の人が考える評価・信用とは似て非なるものです。敢えて奇をてらった発言で炎上を繰り返すような人は、確かに他人からの注目を集めていることは確かですが、世間一般で言う評価や信用を集めているわけではないはずです。
 アクセス数やフォローワー数などのデータは、興味・関心・評価・信用などが混同してしまっていて、それらを明確に区別できていません。その人が多くの人に評価されているのか、注目されているだけなのか、面白がって野次馬的に見られているだけなのかは現在のフオロワー数やアクセス数のような簡単な指標からは判断できないのです。もし、今目の前で起きていることが「注目経済」「関心経済」と表現されていれば、多くの方も納得できたでしょう。
 実際は「注目」や「関心」に過ぎないものが、「評価」や「信用」という高尚な概念に「すり替わっている」ことに違和感を覚えている人が多いのだと思います。(p174-175)



複数の経済圏に生きる安心感

 かつて、村などの小さなコミュニティは、困ったことがあったらコミュニティ全体でお互いに助けあうという互助会のような役割を担っており、一種のセーフティネットのように機能していました。現在、都会では近所付きあいなどは限りなく薄くなり、マンションの隣に誰が住んでいるのかもよくわからないのが一般的になってきました。
 もしシェアリングエコノミーやトークンエコノミーのような仕組みが普及すると、そこで誕生する無数の「小さな経済圏」に、セーフティネットのような役割を期待できるかもしれません。
 現在の資本主義経済の中ではうまく居場所を作れない人も、全く違うルールで回るオンライン上のトークンエコノミーでは活躍できるかもしれません。また1つの経済の中で火敗したとしても、いくつもの…珊なるルールで運営される小さな経済圏があれば、何皮もやり直すことができます。
 例えば、コミュニケーション能力が求められる職場ではうまく成果を出せないけれど、歌うのがうまい人がいたとします。ただ、プロとしてのオーディションに受かるレベルではないとします。
 歌がうまいと現実社会ではカラオケの二次会で盛り上がるぐらいですが、これからはこういった経済的に無価値だと思われていた趣味も強みになります。仕事が終わった後にネット上に歌っている動画をアップして、サービス内で多くのファンを獲得したとします。そのサービスが発行するトークンを報酬として受け取り、そのサービスが拡大していけば初期から活動していたのでさらに人気を集めるようになります。結果的にユーザーが増えて競争が激しくなって前ほどの視聴者を集められなくなったとしても、サービスの拡大を通して受け取ったトークンの価値が上昇していれば人気を失ってもこれまでの活動は資産として残ります。
 そのトークンを法定通貨に換えても良いですし、また別のサービスで同様の活動を始めるのも自由です。もしこれだけで暮らしていけるのであれば、苦手な仕事はもう辞めても良いかもしれません。
 複数の経済圏が並行して存在すれば、既存のメインストリームの経済から外れてしまった人に対しても膨大な選択肢を与えることになり、選択肢があることによって多くの人がリスクを取って積極的に活動ができるようになります。1つの巨大な経済システムしか存在しないと、一度でも失敗したら再チャレンジが難しいという弊害があります。(p192-194)




「お金」のためではなく「価値」を上げるために働く

 価値主義の世界では就職や転職に対する考え方も大きく変わってきます。ざっくり言ってしまうと、この先は「自分の価値を高めておけば何とでもなる」世界が実現しつつあるからです。
 従来の働き方では、どの会社が自分のことを最も高く買ってくれるか、どの会社であれば潰れなくて安定していそうかを考えて、就職先・転職先を選んでいました。
 ただ、前述した通り、個人が自分の価値を収益に換えて生きていける環境はもはや整備されつつあり、本当に価値を提供できる人は会社に属して働く必然性が消えてきています。むしろ彼らにとっては、会社とは自分の価値を発揮する、たくさんあるうちの1つのチャンネルになっていきます。間違いなく個人の収入源が1つの会社に依存しているという状況は変わっていき、個人はパラレルキャリアで複数の収入源を使い分けていくことになるでしょう。

 そこで重要なのは「個人の価値」です。個人の価値さえ高めておけば、それをお金に変換することもできますし、お金以外の他の価値にも変換することができます。ここで言う価値とは、.好ル・経験のような実用性としての価値、共感や好意のような内面的な価値、信頼・人脈のような繋がりとしての社会的な価値、のいずれも含みます。

 従来はこれらは企業の経営戦略において、事業戦略、CSR、プランテインクのような領域でやっていくことですが、それが個人レベルでも必須になってきています。(p228-229)
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