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ヒト、コワレテノチ、鬼トナリヌ

最初にコワレたヒトを見たのは、今年の4月だったか。
その日も遅くまで仕事があって、終電近くで最寄り駅のホームに着いた。電車から降りて、さぁ、帰ろうかと、階段の方に顔をむけたそのさきに、20代後半のサラリーマンがいた。だいぶん酒が入っているんだろうな、とおもわせるふらりふらりとした足取り、上質なのによれよれのスーツ、片手にはビールをなぜか持っていて、まがまがしいオーラを放っていた。
僕からほんの5歩くらいの前方にいた彼がとつぜん、「ちくしょー、くそったれー!」といって、右手に持っていたビールを時刻表と路線図がかきこまれた立て看板にたたきつけたのだ。
2mほどビールの飛沫が上下左右に飛び散る。いっせいに彼の周りからヒトが離れる。
ふらっと、おおきく肩を揺らしながら、こちらを振り向いた彼の顔はゆがみにゆがみ、目の端はこれでもかと上にひきつれて、口からよだれが出ている。おこっているのか、かなしんでいるのか、なきたいのか―とにかくありとあらゆる「負のオーラ」を発散していた。そう、そこには「鬼」がいた。そのあとも、ひとしきり怒鳴り声が聞こえた。怖くなって、足早に階段をかけおりた。

最近、移動中に街をみていると、コワレて鬼になるヒトがちらちらと出てきた。鬼はしらずしらずのあいだにヒトの魂を喰いつくして、やがて他のヒトへと移りゆく。

東京に鬼があふれる日も、そう遠くはないのだろう。

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