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パワハラ防止のための アンガーマネジメント入門
アンガーマネジメントをカード研修にできないかと考えて、参考資料として手に取った一冊。

内容は、怒りの感情は当たり前のものだから、それに蓋をするんじゃなくて、うまくいなしていきましょうよ、と。
大変わかりやすい本の構成で、アンガーマネジメント初心者にはうってつけの本だと思います。
 コミュニケーションの専門家の中に、「怒る」と「叱る」の違いを強調する人がいます。国語的な意味の違いではありません。
 違いのポイントは、「自分の損得のために」が「怒る」であり、「相手の成長のために」が「叱る」という行為です。
 怒るは、自分か困りたくないから、不利益を被りたくないからという理由の自分本位型のコミュニケーションであり、叱るは、改善提案や相手の成長を促すことが目的の相手本位型のコミュニケーションです。
 先に示した裁判例では、A氏の成績不振が上司の評価にも通じる可能性があり、それが困るから「怒って」対応したことになります。
 怒るばかりでは部下に響かず、部下を追い詰めてしまいますから、叱る的な対応を心掛けましょう。

 また、緊急に注意を向けたいときなどは「激しく叱ること」は効果があるが、根本から行動を改めさせたりするときは、「冷静に叱ること」が必要という実験結果もあります。
 例えば、危険が迫っていることに気づかない人に「おい!」と大声で注意喚起することは効果的ですが、静かなオフィスでやみくもにガミガミ怒鳴り散らされても、「あ、なんか怒っているな!」ということはわかっても、何を伝えたいのかがわかりづらいもので
す。
 根本から行動を改めさせるための「冷静に叱る(伝える)」ことの好例を紹介しましょう。
 2013年6月、日本がサッカーのワールドカップ出場を決めた夜、渋谷駅前で雑踏警備をした「DJポリス」の巧みな誘導は記憶に新しいと思います。
 警察官による警備は威圧的になることもありますが、「皆さんは12番目の選手です」「そういう行動はイエローカードです」「怖い顔をしたお巡りさん。皆さんが憎くてやっているわけではありません。心の中では出場を喜んでいます」……といったメッセージは相手に響き、大きな混乱が避けられました。
 指導とは「教え、導くこと」という言葉の意味に立ち返り、相手に伝「え」るではなく、伝「わ」ることを意識しましょう。伝わらなければ、相手の成長や改善につながりません。(p30-31)




 コアビリーフは「べき論」に似ています。
 べき論とは、理想を実現しなければならないことなどを強く主張する論調のことです。
「そうするべき」「こうあるべき」という言い回しからそう呼ばれます。

 会社はこうあるべき、男はこうあるべき、服装は……髪型は……etc。
 私たちがイライラする理由、怒る理由は、自分の信じている「べき」が目の前で裏切られたときです。
 誤解しないでいただきたいのは「○○であるべき」という「強いこだわり」を持ってはいけないといっているのではありません。
 「○○であるべき」という「強いこだわり=コアビリーフ」が影響されたならば、私たちはとても怒りやすくなるのですよ、ということです。

 コアビリーフは、自分だけに通用するルールであることが多いです。人をしばれるルールではありません。
 ときどき「あいつは、オレのことを怒らせてくれるよ」という人がいますが、それは違います。その人自身が「10分前に集合するべき」というコアビリーフに基づいて、怒るという感情表出を「選択」しているのです。

 ちょっとしたコアビリーフは誰しも持っています。例えば「あなたは目玉焼に何をかけますか?」「居酒屋で乾杯するときに注文する飲み物は?」「大晦日に観るテレビは?」
 これらも当人だけに通用するルールです。自分の好みでないものを選択している人を非難する理由にはなりません。(p97-98)




 「変えられない」ものは、「過去」と「他人」です。
 「過去に、あの人」からあんなことを言われたり、されたりしても、その事実はどうにも変わりません。変えられないことに時間を費やしても自分が傷つくばかりです。

 「部下を凹まさない、追い込まない、逃げ場をつくる」で、松下幸之助氏の「叱った後のフォロー」に関する逸話を紹介いたしましたが、ここでも、氏のソリューション・フォーカス・アプローチと合致するエピソードを紹介します。
 松下幸之助さんが、船を下りて波止場を歩いていたら、いきなり大男にぷつかられて、海に落ちてしまいました。一緒にいた秘書が、「社長、大丈夫ですか。私か文句を言ってきますよ」と息巻いたのに対して、「馬鹿者。いまから文句を言ったからといって、私は海に落ちないで済んだのか。海に落ちないで済むのなら、いくらでも文句を言いに行く。だが、そんなことはありえない。いまさら文句を言ったところで私が海に落ちたという事実は何も変わらないじゃないか。先を急ぐぞ」と、濡れたスーツを手で払いながら、さっさと歩き出した……ということがあったそうです。

まさに解決志向の実例です。

 変えられないものにいちいち怒っても無駄なのだから、事実を粛々と受け容れて、今やれること、できることに集中するほうが生産的です。

 解決志向で考えると、「なりたい理想」に近づくために、現状と理想のギャップを埋める努力をするようになります。
 すると、理想通りにはいかない場面も出てきます。
 先述した労使関係と恋愛関係に当てはめてみると、
 社長の性格を変えることはできない。けれども、自分が変わることで、社長からの評価やアプローチが変わってくるかもしれない。だから自分を変えるための努力をしよう。それには今の仕事で結果を出すことだ。
 彼女の気持ちが自分から離れてきたのはわかる。でも今一度、自分に振り向いてもらえる努力をしよう、それでもダメなら、すっぱり諦めて、新しい恋を探そう。
 といった結論に向かうかもしれません。
 理想通りにいかずとも、努力した事実は、次のチャンスにつながる可能性を生みます。(p110-111)




 児童心理学者で、子どものためのアンガーマネジメントの権威であるジェリー・ワイルド氏は著書『自分の怒りをしずめよう』(東京書籍)の中で、「廊下を歩いているとき、誰かがぶつがってきて、きみの本が全部床に落ちてしまったとする。そんなとき、どんな風に感じるだろう?『このドジ! 前を見て歩けよ!』こう思ったら誰でも腹が立つ。でも、ぶつかったのが目の不自由な子だとわかったら、どう思うかな?………」
 つまり、本が散らばったという結果は同じであるのに、ぶつかった人がどういう人であるかを問題視しているから感情に乱れが出ることを説明しています。

 アンガーマネジメントが身につけば、「本が落ちたな、拾えばいいや」という解決志向で物事を考えます。
 間違っても、そのぐらいのことでは怒りに支配されず、相手に「土下座させてやる」とはなりません。
 そして、そのぐらいのことで相手を土下座させたら、今度は罪悪感で自分が苦しむことになるでしょう。
 自分を傷つけずに快適に生活する術もアンガーマネジメントからは習得できます。(p114-115)




 手前味噌で大変恐縮ですが、筆者が怒りをパワーに変えられた話を紹介します。
 筆者の体重は、現在62キロです。身長が170センチなので、まずまず標準的な体型ですが、少し前までは82キロの肥満気味の体型でした。
 2013年1月、ある会合で、82キロの筆者は日ごろ、あまり相性のよくない人から「またご立派になられたようで。さぞや美味しいものばかり召し上がっているんでしょうねえ……」と、少々盤慰無礼な物言いをされ、カチンときました。
 筆者は、アンガーマネジメント・ファシリテーターなので、その場で反射的に怒りをぶつけることはしなかったのですが、「絶対にやせてやる!」と強く決意しました。
 その日の飲み会にも参加せず、翌日からトレーニングと節制を開始。2ヵ月後に同じメンバーが集う会合が催されることが既に決まっていたので、「2ヵ月で10キロ落とす」を目標に掲げました。
 ダイエットもアンガーマネジメントと同じく方法論(メソッド)です。要は、吸収(イン)を減らして代謝(アウト)を増やせばよいはずと、それなりに厳しい運動負荷と食事制限を自分に課し、忠実に実行しました。それまで食べたいものを食べたいだけ食べてい
た食事量をギリギリまで減らして、雨の日でも10キロ以上のランニングを欠かしませんでしたし、20階建てのビルも階段で登りました。
 努力の甲斐あり、2ヵ月で10キロ落としたかったところが15キロ落とせました。洋服のサイズはLLからMサイズになりました。ものすごい達成感でした。
 細身の服を着用して会合へ行くと、多くの人は驚き、賞賛の声をあげてくださいましたが、減量のきっかけとなった当事者が筆者に言ったことは「あら、ご病気?」でした。
 このとき筆者が思ったことは、「自分の怒りをパワーにできたことは良かったけれど、相手の挑発をいちいち真に受けることもなかったな」ということです。
 なぜなら、挑発するほうは、こちらがイライラするのを見るのが楽しいのであって、そういう人に付き合ってあげて、自分のペースを乱すのはバカバカしいからです。
 くだらない挑発をまともに取り合うことはない。
 自分の怒りと深く向き合ったことで、目の前の霧が晴れたような気分になりました。(p118-119)
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