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Re-Editing World -再編集する世界- Project
アジア人材活用の試み
秋(とき)は中小企業にあり!
連日報道される円高のニュース。輸出産業は大打撃をうけ、海外への工場・研究開発拠点の移転の是非が、いまおおくの経営会議で交わされている。拠点を海外に移すとなった場合、どのような戦略をえがけばいいのか、どのような運用が望ましいのか――経営層が直面する問題は多種多様だ。今回は、香港を拠点に東アジア全域の進出支援をされている、Hopewill groupの堀氏に、海外展開をするうえでの人材活用についてお話をうかがった。

Q:アジアでビジネスをするうえでまず何に気をつければよいでしょうか

いい現地パートナーにであえること、これにつきます。あやしげな自称現地通ではダメで、現地に10年以上根をはったパートナーです(※1)。弊社でご相談をいただくと、まず現地の感覚とお客様の認識をすりあわせることからはじまります。認識のすりあわせがあってやっとビジネス展開、となる。
よく、「現地企業と取引して騙された!」と聞くじゃないですか。話をよくよく聞くと、騙されたんじゃなくて、コミュニケーション不足のなか、日本の常識をビジネスにあてこもうとして、あてこめなかったケースがおおいんです。現地企業は騙すつもりはサラサラない。あなたたちがコチラのことをわかっていないんじゃないか――という感覚なんです。

日本の常識を日本以外で
 
あてこめようとしないこと



とても重要なことですね。
よくご相談いただくのは、中国に生産拠点をつくりたいというもの。それから、対中ビジネスをやるんだけれど、そこから、対アジアビジネスにひろげるための戦略的な拠点をつくっていきたいというご相談。中国で会社をつくってしまうと撤退撤収が難しい、上がった利益を限定的にふりわけざるをえない――じゃあ、中国の会社を子会社にするのか、孫会社にするのか、などなど。
製造業だけではなく、飲食、教育、サービス、多種多様なセクターからお声がけいただきます。みなさんに共通していることは、日本に成長エンジンがないんで、外に活路をもとめるという点。日本を蔽っている停滞感のせいか、ほんとうに特定のセクターにかたよっているわけではなく、日本経済全体からご相談をいただいているという印象をもちます(※2)

※1
現地企業よりもわたしたちのような日系で現地化している企業に相談をもちかけたほうがよいかもしれません。現地と認識のすりあわせができていないと、当然、現地商習慣もわからないわけで。そんな状態で現地企業とやりとりをするのはハードルがたかいとおもいます。「根をはった」というのは、その企業が地方政府などの関係機関に直接連絡をとっているかどうかということ。どこかに連絡業務をなげていそうな企業は注意したほうがいいでしょう。日本人を一番騙すのは、日本人ですから。弊社はわたしをふくめ、現地に10年以上いるようなスタッフばかりです
※2
「えっ、こんな業態の方が海外に目をむけないといけないんだ」というご相談もあって。日本の土着型ビジネスも日本以外を見ないといけない時代なんですね
Q:戦略的拠点をつくれる企業とつくれない企業のちがいはなんですか?

ずばり「ヒト」ですね。戦略的拠点をつくれない企業はマインドの部分よりも、フィジカルな部分が決定的にかけている。ビジネスを構成するもの――ヒト・モノ・カネ。売るモノがある、中国で展開するすべもあるし、カネもある。

でもね、ヒトがいない


今後の企業発展を考えると、アジア展開をやらなきゃいけない。わたしたちも、お客様と一緒にアジア進出のスケジュールをくんで、諸々準備します。工場をつくったら、ラインをならべる。ラインをならべたら、労働者を用意する。あとは必要な資金を投入すれば、モノはできあがるはずなんです。そこで、「じゃあ、だれがこのマネジメントをするんだ」という人材の問題にいきあたる。一人の人材を現地に長くはりつかせられないから、マネジメントが長続きしない。

「わたしは、一度海のむこうにいったら帰ってくる気はありません!」という人材をほんとうに長期にわたっておくりこめられるかどうか。なぜか。東アジアでビジネスパートナーシップを構築していくのであれば、その多くが中国人(華僑を含みます)になるでしょう。かれらの人間関係は、日本のように体裁的なモノではなく、かなり時間をかけてじっくり構築される。やっと腹をわって話ができる関係になった・・・という時期に日本の人事異動のベルが鳴る。約3・4年で「帰ってこい」、これがよろしくない。


日本人の人間関係はお椀に例えられるでしょう。碗の縁(ふち)がたかいのでなかなか中に入れない。縁をこえるために体裁を気にして慎重にやる。だけど一度縁をこえると、なんでもありの世界。日本人はこの感覚のままアジアにいく。現地で中国人と話をし、握手をして「いやあ、ぜひやりましょうよ!」といわれて勘違いしてしまう。かれらとしては、あっさりと碗の縁をこえたと判断したのかもしれない。
でも、中国人の人間関係はお椀を逆さにした状態。「握手」は碗の山の入口にすぎません。入口はみんなwelcomeなんですね。付きあいをはじめて、3・4年で四合目。「おまえのためだったら、なんでもやるよ」といってもらえる関係(山の頂)になるには少なくとも10年かかる。だから、東アジアでビジネス展開を真剣に考えているのであれば,日本の人事異動をそのまま運用していたのでは成功しません。
海外に居ついてもいいという人材をちゃんと採用・育成できているかどうか。日本人と中国人の人間関係の感覚のちがいをわかって、人事制度を運用できるているかどうか。ここが海外戦略拠点をつくれるかどうかのポイントです。

ここ2・3年の動きをおってみると、20代の若者の海外離れがはげしいとききました。海外ビジネスを成功させるうえで、日本全体が人材欠乏症におちいっているのかもしれませんね。


Q:人事面でどういった解決のアプローチがあるでしょうか。

小手先で解決できない問題があるとおもうんですね。

人材育成や登用システム
 
内需型でご飯食べられたときの
 
人事の仕組みそのものを
 
一回壊さなければならない



壊さないと新しい仕組みを創られませんから。これはビジネス展開先がアジアの場合にかぎった話ではなく、展開先がアメリカでもヨーロッパでも、同じことがいえるでしょう。
「壊して、創る」という人事制度の風向きの変化を考えると、状況は身体の大きな大企業よりも、小回りのきく中小企業に有利にはたらいてくる。大企業のサラリーマン社長は、大きな責任や根本的な判断がとりづらいインセンティブのなかにいます。前例のないなかで大なたをふるうことが苦手な方がおおいじゃないですか。一方で、中小企業のオーナー社長は未開のジャングルにブルドーザーで「ガガガガッ」とのりこむタイプの方がおおい。
よくよく考えてみると、日本の経営者の約90%が中小企業の社長さん。ぼくは圧倒的大多数の経営者が活躍できる時代がきたと認識しています。ワクワクしませんか。

ただ問題もあって。中小企業は人事の変革よりもまず、スタイルの変革が難しい。ゴムをつくっているところはゴムにこだわる。このままゴムだけをつくっていたんじゃあダメなのはわかるけれど、「つぎは、○○にいこう!」と新しい絵をかくのが苦手。一方で、新しい絵を描きつづけている、けどカネがない歴史のあさい企業もあって。この歴史はあるけれど絵が描けない企業と、歴史はないけれど絵が描ける企業のマッチングが今後の日本経済をbreak-throughする鍵になるのではと考えています。


Q:どのようなマッチングを考えていらっしゃいますか

歴史があさくて独創性のある企業の知財(※3)を、歴史のある企業の信用力をいかして、周囲をまきこんでいく。そのときに発生するエネルギーで信用のない事業を成長させていくんです。年輪をかさねて重みのある経営者と若くてバリバリやる経営者がjoint-ventureをするイメージでしょうか

※3
Future equity。日本の金融会社はここを判断できないし、しようとしません。

ライフネット生命がまさしくそうですね。


それから、国境の壁をはずしてひろく人材をもとめること。そのための言語障害の問題、

日本語でないと仕事ができない
 
という感覚をはずすこと



日本企業でアジアから人材を登用するのであれば、登用される側には「すこしでいいので、日本語をしっていてくださいね」くらいのスタンス。1億数千万人のためにつくられた日本語よりも、30数億人に通じる言語を学んだ方がビジネスチャンスはひろがります。言語障害が理由で、英語をはなす人材を使いこなせずにいるのは使う側(=企業)の責任だとおもいます。

――きみ、日本語もできないのかね・・・

日本市場だけを相手していればこの発言もありかもしれない。でも現実には日本市場は縮小して、海外にシフトしていっているわけで。同時に日本語の使用価値もさがっているわけですよね。相手にしないといけないお客様は個人であれ、法人であれ英語をつかう。なら、第一言語=英語、第二言語=日本語にしないとそもそもビジネスがなりたたない。ベトナムでもインドネシアでも中国でも、必要な人材というのは英語を完璧に話せる人材――相当優秀な人材です。こういった優秀な人材がきたくなるような企業の人事システムはなんなんだということです。



ベトナムでモノを売ろうとおもったら、
 
中国人をつれてきてもだめで
  
ベトナム人でないといけない



中国でモノを売ろうとおもったら、マレーシア人ではダメ、やっぱり中国人。たとえば、ベトナム語、中国語、日本語、それぞれでひろげたビジネスフィールドをひとつの束にして「企業体」として成立させるためには、たばねるためのコミュニケーションの紐「共通言語(※4)」が必要。ないと、ビジネスがうまくはこばないような気がします。企業体としてまとまる意味も見いだしづらいし、情報が切れてしまう(※5)

情報の取得・共有精度の高さ、市場からの高品質な人材調達の容易性をかんがみると、「あしたから北京に、ニューヨークにいってね」といわれてすぐに現地で仕事をはじめられる人材、やはりすくなくとも英語はつかえる人材。でかつ、現地の言葉もすぐに覚えます!という気概をもっている方に企業はこえをかけていくのです。

※4
企業としてどの言語を共通語とおくのかはきめたほうがよいでしょうね。英語なのか、北京語なのか、広東語なのか――マーケットにあわせた言語選択です。
※5
役員以上の上層部も、仕事がおわったら飲みにいくんじゃなくて、語学スクールに通う。英文メールのやりとりや、取引先で顧客の生の声をひろってくるなんてことを自分でしないと。秘書にいつまでもまかせていたんでは、Executiveといえますか?ということです。



Q:人材活用についてどうおもわれますか?

これまでは人材選定の幅が狭すぎた。募る場所を日本に限定していたから、あつまる人材も限定的になってしまう。日本に戻るつもりはないけれど、両親のどちらかが日本人でどちらかが中国人、という子はたくさんいます。たとえば、こういった人材にフォーカスをあてるべきなのかもしれない。でも現状の扱いはローカル採用。ではなくて、人材はしかるべき場所でしかるべき待遇で登用されるべきです。

登用をうながすためには
 
意識の改革が必須です



大きな企業だと既得権益を保持するインセンティブが強くはたらきますから、ほんとうの実力主義を導入されると困るひとたちが多い。もし、新入社員への訓辞でわからないところがあったら、新人は社長に「あなたが何をいっているのか、わかりません」とどんどんいっちゃえばいいんですよ。社長は問いに答える義務がありますから。でも、取り巻きの役員が「きみ、失礼だ」とかえす――ぼくは「失礼だ」とかえすことが社員にたいして失礼だとおもうんです。「わからない」といったんだから教えたらいい。それを「おれの顔をつぶすなよ」とかえしてしまう日本の文化にメスをいれる必要があります。
アメリカ、ヨーロッパ、中国、どの地域にもだまって草履を温めることをよしとする文化はあります。最低限のマナーかもしれません。じゃあ、いわなくてもいいのか。そうじゃない。聞かなきゃいけないものは、聞かないといけない。日本語なら「大変申し訳ありませんが――」、英語なら"Excuse me…"、中国語なら「麻烦你――」と接頭語があります。相手を敬う気持ちをもって相手にたずねる。社長もふんぞりかえって「じゃあ、あいつに説明しておいてやれ」と他人任せにするのではなく、「よし、じゃあいまからもうすこし詳しく説明すると――」ときりかえす。この意識の改革があって、共通言語や人事制度へのテコ入れがすすむとおもいます。


Q:今後のアジアマーケットはどうなるとおもわれますか

――○○のマーケットはもう終わったんだよ
日本の方はよくトレンドに左右される発言をされますが、そんなことはありません。そう簡単には終わらないんです。上げ下げをくりかえしながら、確実に右肩上がりの成長をするでしょう。
どういうわけか、

日本企業は判断するまでに
 
時間をかけすぎるわりに
 
結果はすぐにもとめたがる



駐在員の赴任期間の短さがこの傾向を物語りますね。逆だとおもうんです。もっとはやく判断して、じっくり結果を待つ。その姿勢をもってのぞむならば、アジアほど成長するマーケットはないといいきれるんじゃないでしょうか。


たとえば、国家与信がひくくてカントリーリスクが高く、かつ通貨も強くない。アメリカの景気に左右される産業が主体の国があったとする。当然、外的影響から景気のアップダウンはあるでしょう。でも、

注目すべきはその「伸びしろ」だとおもうんです


どこかで飽和したおカネは、伸びしろのあるところにおちていく。日本が戦後からここまで豊かになったのは、頑張ってきたからというのもあるけれど、伸びしろがあったから。じゃあ、なんで伸びたか。当時の日本の労働賃金がやすくて、労働者が勤勉だったからです。だから、世界中から仕事があつまった。いまの中国やベトナムとおなじです。

わたしたちは過去にイギリスがやってきたことを見習う時期にあります。戦争が終わって1946年当時のイギリスは、すでにして老齢国家でした。そこに一人の資産家がいました。かれはある日おもったんですね。――イギリスのなかでは飯を食えないけれど、カネはあまっている。どこかで稼がなきゃいけない。どうしよう・・・。そこで地球儀をくるくるまわしてみると、日本を見つけた。――どうもこの国は伸びそうだな。早川工業、松下電器、東京電子工業、よさそうな企業があるじゃないか。ここの株価をかっておこう。
仮に当時の日経平均株価が150円、為替が1ポンド/1000円とする。その資産家がポンドを日本円にかえて、そして株式を購入しました。時代はたって、1989年――日経平均株価が至上最高値をつけた年です。株価は38,000円、為替も1ポンド/200円としましょう。円で資産キャリーをしてきたので、外的要因はない。単純計算をすると、

資産: 150円 → 約250倍(A) → 38,000円
為替: 1ポンド1000円 → 約5倍(B) → 1ポンド200円

資産をポンドになおすと、(A)×(B)=1250倍。そこで資産家は考えた。――もう、日本は伸びしろがなさそうだ。株を売却し、ポンドにかえて香港にでも資産をうつそう。――このやり方から学ぶべきものはおおいでしょう。

これから日本はなにをしないといけないのか。それは、

過去の遺産にしがみつくのではなくて
 
外から集めて内需で循環させてきた
 
おカネ、ポーションを
 
成長マーケットにふりわけることです



ベトナムがいいとかわるいとか、中国がいいとかわるいとか――その前に、せっかくの資産を日本においといていいのかの議論をしなくてはいけない。日本にはまだ宝の山があるんじゃないか、いつかきっと景気が良くなるんじゃないか。期待したい気持ちもわからないではありません。でも、各種レポートや統計をみても、日本が爆発的に今後成長することは考えにくい。だからこそ、イギリスのように、先に老齢国家をむかえた国がやってきた次のスタイルをとりいれていく時代がきたのだと、わたしは考えています。




堀 明則
1972年兵庫生まれ。大学時代に中国人留学生が15、20年後の中国像について真剣に語りあっている姿を見て「これからは中国の時代が来る。まずは中国に身をおき中国での経験をつんで、いずれ中国をベースに事業を興す」と志す。中国で経験を積めるのでは、と大学卒業後商社に。24才から香港、深圳に駐在し、アジアでのビジネスの仕組み・人脈を築く。30才で独立し、ホープウィル・グループを設立。アジア進出のゲートウェイ企業として各種事業を手がけている。

◇ 企業向けコンサルティング
【進出・M&A・資金調達・上場の支援】
◇ 個人向けライフプランニングコンサルティング
【海外での資産形成・運用・保全・継承の支援】
◇ 中国・新興国での事業支援コンサルティング
【調査、調達、原価低減、経営革新の支援】
連絡先:news@hopewill.com 

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