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じぶんの生きかたそのものが
つねに仮説⇔検証なのかもしれないね
鶴 直人(Naoto tsuru)

Q:どんなことをしていらっしゃいますか?

ビジネスだと、BPOの会社をやってます、と名刺の肩書きみたいなことをいうんだけど。とっぱらって「じぶんはなにをしている人か」といわれれば、こう応える。

人間の「知の生産性を高める」仕事をしています


どういうことかっていうと、こんだけ世界で知識労働者がふえてると、おなじスキルをもっているのに、国がちがうだけで労働単価がちがってくる。すると、労働単価の高い国から安い国へ、必然的に仕事は流れるよね。その結果、労働単価の高い国は、新しい付加価値の高い仕事をつくらざるをえなくなる(※1)
それって、新しい経済、新しい発想、新しい文化を産みだす原動力になるんじゃないか。ボクはBPOという手段をとおして、「知の生産性を高める」ことを後押ししている。あくまで一手段だけどさ。

※1 
「非必要」という言葉を恩師に教えてもらった。モノはある。なので、人間が生きるのに必要がないモノに価値をみいだす。そこにお金をはらう。資本主義社会が進めば必然的に非必要経済化していくんだ。

Q:きっかけはなんでしたか?

もともと宇宙とか科学が大好きだった。だから大学も理系にすすんだわけ。
日々、研究するんだけれど、そこで一流の研究者にであったのね。みんな心底「研究」が好きで、四六時中「研究」のことを考えていた。実験がそうとうな作業なんだけど、毎回楽しそうなんだよ(笑)。

一方、じぶんはどうか。実験が楽しくない。仮説をたてるのは好き。だけど、仮説を検証する実験がただの作業におもえてならない。ひたすら作業なんだよね。むーりだー!と(笑)実験はアウトソースしちゃえばいいのにっておもってしまう。気持ちが一流の研究者じゃないってわかったから、じぶんは研究者にむいてない。よし、じゃあ一流の研究者がつくった成果を世におくりだすというポジションはどうだ!で、産学連携の研究室にはいった。

しばらくして、起業しようという話になった。「日本の技術ってすごい」、しかも「その技術は、大田区の町工場にある」と本には書いてある。よし、大田区の町工場にいこう。かれらの技術を世界にもっていくビジネス。技術がすごいから、相当もうかるんじゃないか?もりあがるでしょ?

早速、テレアポして、工場にいって、おっちゃんたちと飲んで・・・これを何度か繰りかえした。すると、身にしみてわかったことがあって。

1)大田区の町工場にそんなすごい技術力はなかった
2)おっちゃんたちのほとんどは中国にやられていた

もちろん海外から仕事をとってくるようなすごい技術力をもった工場もあるけれど、少数派。町工場全体が技術力をもっているわけではない。
仕事をもとめて中国にいったおっちゃんたちに連れられて大連にいった。そこで、日系企業の中国人従業員と話してビックリ。みんな日本語がペラペラ!!むちゃくちゃ親切だし。なんだこれは!?

同じ仕事をしているのに
 
中国と日本で労働単価がちがいすぎる



これだったら、たしかに仕事は流れるなあ・・・。

製造業大企業が中国にシフトしたときに、紐付きの中小企業が大打撃をうけた。サービス業でもいずれ同じことになるんじゃないか。なら、いまから中国にでていって、中国のひとたちと闘うのではなくて、一緒になにか築いていけないか――これがこのビジネスをはじめたきっかけだね。


Q:やってみてどうでしたか?

まず大変だったよね。気持ちだけ先にあった状態だったから(笑)。BPOという言葉が浸透していなかったからさ。

中国に仕事をもっていくんですよ、と言うと
 
かならず「えっ、大丈夫なん?」と言われる



――データを持ち逃げされるんじゃないか。――ビジネスをパクられるんじゃないか。
変なイメージがあったから、BPOの啓蒙活動から始まるの。心理的なハードルをぬぐうために、大連に一回来てもらう。来てくれるとみんな「ああ、なるほど」といってくれて、そこでやっと納得してもらえるんだ。

人材の面では運が良かったよね。
創業にあたって、仕事を着実にこなせる成長欲求の高いひとたちを採用しようとなった。実際に集めてみると、日本で想像していたよりターゲットになるような中国人が多い。
だから、はじめの3年間はほとんど離職がなかったよね。珍しかったとおもうよ。中国人経営者はスキルのあるひとを仕事(業務)にあてこめればいい、という発想をもつ。転職してしまったら、同程度のスキルをもった人材をとればいい――育てなくても即戦力の労働力が補える労働市場があったから、長くコツコツ働きます、というひとを採用していなかったんだろうね。いまは「育てる」ことが自社にメリットになるという考えもでてきたけれど。


Q:やりたいことを実行されているなかで、どんなものが見えてきましたか

BPOを導入するとね、日本企業の社員が自分の仕事の値段に意識をむけるようになる(※2)。「この仕事、わたしなら2分でできるけれど、なんできみのところに頼むと5分もかかるのさ?」とか、切磋琢磨する関係になるんだよね。

BPOという手法を生かすも殺すも経営者次第なんだけど、よく営業先でこういわれた。「日本人の仕事をもっていって、残った社員をどうケアするんや」「じゃあ、きみ。目の前にいる社員にいいたまえ!」

生意気だっていわれるけれど
 
ぼくはかならずこう応えるの



長期的に考えましょう。世界的に労働人口がふえてきているなかで、いまとおなじ仕事をしていては、いずれおなじスキルをもった労働単価の安い国に仕事がとられてしまいます。どうやって、いまの生活水準をたもつのか。新しい仕事をつくっていく、これしかない。新しい仕事は労働希少性が高いから、給与水準は高くなるじゃないですか、って。

BPOの狙いは人斬りじゃない。既存社員に付加価値の高い仕事に従事してもらうよう促すことなんだ。

だけどさ、想定外だったのがね。総務、経理や人事とか、BPOの対象になるような部門の社員の多くが「新しい仕事をしたくない!」と反応したこと。
それいわれたら、なにも応えられない・・・。むちゃくちゃもどかしいし、なんとかできないものか、とおもっちゃうよね。この意識を変えていくのは相当難しいよ。だから、いいつづけるんだ。――いつまでも、現実から逃げらるわけじゃありません。いまの生活水準をすてるか、新しい仕事をするか(※3)。一緒に考えましょう!って。

※2
BPOすると社内の雰囲気も変わるんだよ。「作業」が中心の業務が会社からなくなるからさ。中国に委託するレベルの仕事をしていてはダメだという危機感からくる意識レベルの向上、中国と協力してなにかできないかという発想の浸透。中国の力をかりて生みだせるサービスもたくさんある。仮説を検証する舞台が中国にあって、検証のコストが低いわけだから、結果的に生産性があがる。知のサイクルがまわってくるよね

※3
みんなさ、新しいサービスに価値を感じてお金をだすじゃない。iPadとかソーシャルアプリとか。みんな消費する側にはたちたいんだけど、創造する側にはたちたがらないんだなあ・・・



Q:次の目標を教えてください

「知の生産性を高める」って、二つのレイヤーに分かれるとおもっていて。一つは細分化できる業務を海外に移管するというもの、つまりBPO。もう一つは、新しいものを発想するというもの、R&D。これって研究にたとえると、BPO=検証、R&D=仮説立て、といえる。

次は「R&D=仮説立て」に注力した
 
仕事をやっていきたいんだよね



BPOという発想はもう当たり前になったし、放っておいても誰かがやる。だからぼくは、ひとがまだ気づいていないコンセプトを打ちだすこと、仮説立てをしていきたい。仮説→検証→仮説→検証の知のサイクルコストが低い分野でね。結局、これって大学時代の研究とおなじことなのかもしれないね。
こうやったら、ああだった。ああしてみたら、どうだった――じぶんの生きかたそのものが、つねに仮説⇔検証なのかもしれないね。




鶴 直人(Naoto tsuru)

慶應義塾大学理工学部在籍中からベンチャー数社の立上げを経験後、理工学部卒業時にHuojin Japan株式会社と大連活今信息科技有限公司を設立。以来、日本企業内の業務モジュール化と経営資源のグローバル化の支援を中小企業に提供している。2009年経営革新計画、2010年技術先進型企業に選ばれる。

◇Huojin Japan株式会社
http://www.huojin.com




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勝手にレールがひかれてってる感じがするんです。
ぼくはそれをただ受けとっていく
関 太郎
http://8ru.jugem.jp/?eid=229


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――その想いをもちつづけることだよ
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http://8ru.jugem.jp/?eid=209


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http://8ru.jugem.jp/?eid=199


Design the World_1
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