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Design the World_1
"I"を"We"にするための場づくり
これがつぎの目標かな
嘉村 賢州
嘉村賢州(Kenshu kamura)氏


Q: どんなことをしていらっしゃるんですか?

場とつながりラボ home's vi」というNPOをやってます。
「場」と「つながり」の専門集団で、たとえば会議とかアマントみたいなカフェのようなヒトとヒトが複数重なりあう場で、ともすると埋もれがちになる個性を活かせる場をつくる、ということをやってる。場づくりをつうじて、個々人が輝くこと。そんな個人があつまることによって、クリエイティブな価値をつくっていく。そのお手伝いだよね。
試行錯誤しながら場づくりの研究もやるし、調査研究で海外の事例を勉強して現場にもってくるということもする。まちづくりとか教育とかNPO支援とか。そうした現場でえられた知見を素材にしてつぎのアクションにつなげていくことをやっている団体。具体的には大きくふたつある。
――まちづくり事業

たとえば「京都きずなサミット」。そのノウハウを活かして、「京都市未来まちづくり100人委員会」というのを委託でやっていたりする。どちらも世代と分野を超えた100人規模の京都人が集まり京都の未来を考え行動に移していく対話プロジェクトやねん。それから、リアルなコミュニティスペースとしてのお結び庵、518桃李庵の運営をしている。あと、京都府コミュニティサイト「京結び」の運営とかかな。

――中間支援事業

各種コンサルティング、セミナーの開催。場づくり、人づくり、まちづくり最前線という外部講師を招いてのシリーズセミナーや、単発セミナーから会議のファシリテーター、組織開発のコンサルティングまで。あとは縁があってつながったヒトにたいして相談にのってたりも。


撮影:玉利康延

Q: きっかけはなんでしたか?

小・中と進学校で、
 
大学に入って自由の波に呑まれたんだよね



「じぶんは何ができるんだろう・・・」「じぶんは何がしたいんだろう・・・」
わけわかんなくなっちゃってさ。一気にレールがなくなったって感じ。そんな感じで困っていたらあるひとから「農業体験してみいへんか」と誘われた。農学部だったし、よし、やってみよう。で、やってみると、じぶんってぜんぜん世界を知らないことに気がついてん。――教科書だけじゃなくて、体験をつうじて勉強せなあかんな、と。
そこでバンド活動や語学留学、企業インターンなんかに手を出してみたんやけど、するとだんだんわかってきた。世界って、いろんな価値観のヒトたちや魅力的なヒトたちでなりたっているんだなって。なのに学校教育ではその存在を教えてくれなかった。
企業インターンからもどってきたある日、学生NGOというものに出会う。企業でできないことを学生の立場でやっている。ヒトとヒトがあつまって、こんなにおっきなことをやってしまっている。そんな刺激をうけて、じぶんもいろんなものごとにより積極的に関わっていこうということで、学生団体・地域団体・NGO・NPOに顔を出すようになったんよ。
そのひとつ、ワールドフェスティバルというイベント。日本人、外国人それぞれから20人づつで構成されたチームで何もない状態から2,3ヶ月で形にしていく祭りのようなもの。価値観や能力はバラバラだけど、ぎゅっと力が凝縮できて成功した。ヒトがあつまると価値を生みだすんだ、ということを理解したよね。


撮影:玉利康延

いろんな団体でいろんな役回りを経験していきながら、「何がじぶんにむいているのか」「何が本気になれるのか」を常にかんがえつづけたの。それは、高校時代の英語の先生の影響も強かったとおもっていて。

どうせ人生を歩むなら、
 
いのちをかけられるものと出会い、実存的に生きろ



学問でもなんでもいいけど、学んだことをつうじて自分が変わらない、ということがあればその学問は偽物だ。受験勉強ははやく終わらせて実存的な学問をやれ。学問だけにかぎらずに、恋愛でもバイトでも、とにかく「これは本気でやる」というものをはやく見つけてそれに没頭できる人生をあゆめ、といわれたんよ。すごい先生でしょ?

たとえば環境NGOや9.11がらみで活動していたヒトたち。みんな本気で世の中のことを考えていて、本気で、むっちゃ真剣で。そこでふとおもった。
――ボクは彼らとはおなじ問題意識をもっていない。。
環境問題も冷静にみれてしまうし、9.11もニュースを見たからといって、いてもたっていられないとはならない。突き動かされはしないわけ。ただ、そんだけ本気の人たちをみてるとこれは相当な力をうんでるなというのがわかる。じゃあ、なんなんだろう、彼らと接しているじぶんはいつも結構本気になっている。夢中で何日も徹夜で作業、なんてこともやっている。目の前の出来事にたいしては冷静にみているのに。で、腹におちたことが三つあったのね。

一つ目、じぶんが本気になること。

――本気でやっている人たちがつまずいていること、形にできていないものを応援する。

『他人の自己実現』。これに興味があったんよ。究極いったら、縁あって出会った仲間たちだけが幸せになればいい。まわりにほんとに社会貢献を真剣に考えているひとたちがおおいので、結果的にボクの活動は社会事業支援にはなってるけれどさ。さっき紹介した「中間支援事業」はこの延長線上にあるんだけど。

二つ目は、じぶんの強み。
いろいろ活動のなかで一番貢献できたのがミーティング。偏った発言とか表面的な言い争いとか、そういうのが見えて調整できる。あるいは新しい人がせっかく関わってきたのに内輪ムードがあって去っていってしまうのが見えてしまう。どうすればプロジェクトやチームで物事をすすめるときに個々人がやりがいをもって関わりをもてるか、知恵をあつめられるか――それがじぶんには見える。これは強みなんとちゃうん。

三つ目は、将来のこと。
利害関係がないのが「良さ」の学生のはずが、学生団体や就職活動で社会とふれあうなかで名刺や肩書きやキャリアを意識して、表面的なコミュニケーションが増えてきているという状況に矛盾を感じたのよ。せっかく魅力的なひとがいるのに、もったいないなぁ。社会人になったら時間が減る、武装モードになる。これは想定できた。ほんとうに信頼できる絆をつくるのは相当タフになるだろう。学生時代に将来異分野で活躍する人材と心の底かあら語りあえて、絆をつくっていくことが5年後10年後に意味をもつに違いない。その確信で「西海岸(※1)」という活動ははじまったんだよ。

※1 一見さんお断り紹介制学生町家コミュニティ。2004年にスタート5年間で1000人以上が訪れるコミュニティに発展したよね


Q:やるにあたって、不安はありませんでしたか?どうやって乗り越えられましたか?

はじめは独立、起業という道は考えていなかってん。ただ考えていたのは社会人3年後までにたっぷりと給料をかせいで、能力をたっぷりとつけて、退職して2年間世界放浪をする。帰ったら独立をはじめているであろう同世代の仲間をお手伝いして5年ほどくらし、最後は教育機関をつくる。そもそも、仲間に必要とされる能力を自分がちゃんとつけていれば、なんとでもなると思った。その意味で安心感はあったかな。
たまたま国からの助成金で、本業のかたわら「株式会社縁人」という会社を仲間5人で立ちあげることになった。一年間はがむしゃらやったよ。ベンチャーなんで、企業名で勝負できない。ひとりひとりの人間性でしか勝負できないわけで。そんな状態をつづけていると、いつのまにか法人ではなく、個人としてもなけなしのお金で仕事をくれそうなネットワークがうまれはじめていた。縁人を解散することはきまっていたけれど、転職活動とかしなくても独りでやっていけそうな環境はうまれてたん。


撮影:玉利康延

お金儲けではなくて、仕事をつうじて地域をよくする、社会をよくするというコンセプトで活動していたからこそ関わってくるヒトと「仕事のパートナー」ではなく、なんていったらいいかなぁ・・・「共感をつうじた社会をよくするパートナー」という関係を築けたんとちゃうかなぁ。ITができるからあいつと友達になろうとか、持っている能力がすごいから友達になろう、じゃない。志でつながったから、そんなネットワークができた。

本当に困ったらお金をかしてくれるひと、仕事をくれるひとは山ほどいるとおもう。ただ、ボクはそんなひとからは一生お金は借りないし、じぶんがネガティブな状態で仕事をもらうようなことは絶対しないねん。それぐらい、ボクは関わっているひとを「人」としてリスペクトしているし、大事にコミュニケーションしている。相手も肩書きとかで判断するんでなく、ボクを「いいやつ」とおもってくれてる。
もちろん、もしかすればほんとに頼るというときはあるかもしれない。でもそれは、本当に心のそこから「これをやれば世の中がよくなる」ものでかつ、ボクにしかできなくて、ぜったいやれば世の中がよくなると確信していて、うてる手をすべてうってできないときだけ。
今はまだそのレベルにいたっていない。借りよっかなー、手助けしてもらおっかなーとおもうと、もうひとりのじぶんが言う。――まだ、やれることあるやろ。その気持ちは相手もに伝わってるとおもうよ。「こいつはおれをやすやすとは使わんだろう」とかんじているんじゃないかな。ぼくの信頼関係の構築の仕方はかなり独特やとおもうよ。


Q:やりたいことを実行されているなかで、どんなものが見えてきましたか

想定外だらけのことばっかり


想定外を楽しんでいる、というかんじかな。人と関わって仕事をすると、自分が描いているシナリオや想像を超える、という楽しみ。ただ、「想定外だらけ」っというのは想定内(笑)。
ぼくの哲学で、古代ってたとえば家を造るのも狩りをするのも全員で力をあわせてやった。だから、誰もが何もができた。万能なひとたちがいた。それが時代がたつとともに分業されて専門家がうまれて、いまの社会がうまれた。これはよかった点。だけど、分業化によるコミュニケーションコストがありすぎて、可能性があるのにみんななんにもできないということがおこってきている。もっとコミュニケーションできたら、もっと専門性を発揮できて一ヶ月やそこらでおもしろいものが世の中にぼこぼこできるとおもう。楽しいものづくり、価値作りを産みだす土壌はある。そこで、いかにコミュニケーションをするか、という場をつくりたい。その場づくりの大変さは想定外だったけれど、まだまだボクができることがあるな、と。楽しいです。


撮影:玉利康延

Q:次の目標を教えてください

長期な目標は”I”から”We”へ


家族や仲間だったら、”We(わたしたち)””という表記をつかう。フランクな関係。もっているものをすべて共有するという関係。いかに違う人たち同士が”We(わたしたち)”という感覚で物事にとりくめるようにするか。NPOと企業とをつないで”We”にするとか、日本と海外というので”We”にするとか。対話や場づくりが”I”を”We”にきりかえるうえで非常に強い力を生みだすとおもっていて。
そのためのコミュニティーや対話手法を開発して、展開していきたい。企業組織自体そのものも機械論的で個性が活かせなくて、トップダウンでやってしまう。そうじゃなくて、関わっている人が組織内外関わらずイキイキして価値をうみだせるような組織モデルを自分の手でつくってみたい。これがつぎの目標かな。




嘉村 賢州(Kenshu kamura)

京都大学農学部卒業後人事・給与システムの営業を経験後、地域活性のITプロジェクトにより独立行政法人情報処理推進機構「未踏ソフトウェア採択事業」に2004年度に採択。京都でIT企業を立ち上げる。2008年に人づくり・場づくり・まちづくりを行うNPO場とつながりラボhome's viを立ち上げる。代表理事。対話による問題解決手法であるオープンスペーステクノロジーをまちづくりへ活用しようと挑戦している。

◇特定非営利活動法人場とつながりラボhome's vi代表理事
http://homes-vi.com

◇同志社大学政策学部非常勤講師

◇京都市未来まちづくり100人委員会 運営事務局長
http://kyoto-machiza.jp/

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