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日本の歴史をよみなおす(全)
名字の歴史を知りたくて手に取った本。
一年くらい前に読んで、気になるところを抜粋してそのまま放置してました。
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小説フランス革命12 革命の終焉
ダントン派粛清後1794/6/8から同年7/27のテルミドールのクーデターまでの、たった2ヶ月を304ページをつかって濃密に描いたシリーズ最終巻。

ロベスピエールの議会演説文や法律文など、原文を丁寧に掘り起こして引用しているが、内容は非常に観念論的。理念先行で社会運営をしていくと、行き着く先は観念であり、非情な世界であることがわかる。とにかく恐怖政治というものの圧迫感とその下で交差する政治力学の複雑怪奇さがすごい。読んでて、窒息しそう。。
物語後半、市井の現実とのギャップに苦しみながら、一生懸命に理想を語り続けるロベスピエールの後ろ姿がが切なかった。

政治とは理想で現実を引っ張ることだけど、理想に傾斜しすぎると現実に無理な帳尻合わせを強いるし、かといって理想を軽んじて現実の利害調整だけに集中すると、世の中は停滞してよどんでしまう。近代共和制の難産ぶりを読み取れる良書でした。

なお、本作の続編的立ち位置として、デュマ三部作(黒い悪魔、褐色の文豪象牙色の賢者)がある。


          

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小説フランス革命11 徳の政治
フランス南部の港湾都市トゥーロンがイギリス軍によって占拠された1793年10月1日からエベール派・ダントン派の処刑が執行された1794年4月5日まで。とにかくギロチン処刑の描写が盛りだくさんなので、一気読みすると吐き気を催す可能性が大。映画「バトルロワイヤル」を見るような感じとでもいおうか。
とにかくこれまで一人称で語られることの多かった主人公級の登場人物が、ばっさばっさといなくなっていく。革命を完了させる(かぎりない権力の分化と富の再分配)、という理想が先行する社会の恐ろしさがひしひしと伝わってくる。

JUGEMテーマ:佐藤賢一
忌み名の研究
評価:
穂積 陳重,穂積 重行
講談社
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(1992-03)
コメント:なにせ1920年代の書籍なので、読みづらさがある。あと優性思想もちょっと顔を出すし。とっつきにくさは否めないが、でも丹念に読み進めていくと、忌み名に関する有益な情報であるれていることがわかる。「忌み名は神代から日本社会に定着していたものではなく、大陸文化を輸入したあたりからでてきた」というのを多方面から論証している。

「文化の高い低い」という表現が出てきて、ああ、そうか。これが書かれた時代は1926年で優性史観花盛りだったんだなと(遠い目)。後半200ページ台に古代インド(仏教興隆期)におけるバラモン教の命名に関する記述があり、思わぬ発見にちょっと嬉しくなった。
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名前と権力の中世史 室町将軍の朝廷戦略
評価:
水野 智之
吉川弘文館
¥ 1,836
(2014-10-20)
コメント:ただひたすらに「偏諱」のことを解説してくれる本。

その名の通り、名前と権力のお話。「偏諱」と「猶子」についてつらつらと解説してくれる。
一点注意は、著者が諱のことを「名字」と言い換えている点。
専門書なので室町時代の将軍の権威付けについて知りたい学生や研究者にはおすすめ。
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古代インドの歴史
評価:
R.S.シャルマ
山川出版社
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(1985-08-30)

十六王国時代の時代背景を知りたかったので、第1章〜第10章、第25章、第26章しか読んでいない。
紀元6世紀前後の、鉄器とそれによるドアーブ(河川域)の開拓、それにともなう余剰穀物と貨幣の出現。こういった現象によって貧富の格差が生まれ、富が平準化されていた原始社会に回帰しようとする力が仏教やジャイナ教などの新興宗教勢力を育んだ、とする筆者の見立てには「なるほどー」の一言。
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インド史における土地制度と権力構造
あいかわらず知りたいのは16王国時代、ブッダが活動していた時期なので、「インド古代奴隷制の性格」しか読んでいない。
古代インドにおける奴隷の定義を知るうえですごく参考になる。
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南アジア史 1(書評2)
引用が長くなったので、全文がはじかれた。ので、引用のつづき。
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南アジア史 1(書評1)
評価:
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山川出版社
¥ 6,264
(2007-06)
コメント:歴史の専門書につき、初心者にはすこし難しいかもしれないが、研究論文ほど難解でもない。「古代インドの歴史をがっつり勉強したい!」と言う人には格好の教科書になるかもしれない。

「古代インド文化史について詳細な文献を教えていただけません?」と北海道大学院文学研究科の細田典明先生に聞いて、紹介してもらった本。まちがいなく、2015年時点で第一級の古代インド史編纂書だ。

圧巻なのは巻末にある「年表」と「参考文献」の一覧。
特に参考文献は古代インド史にまつわる数百冊の和文書・英文書を網羅し、カテゴリーごとに紹介しているので、「もっと古代インドの◯◯について知りたい!」という人の心を鷲掴みにする。この参考文献一覧だけでも、¥5,800分の価値があるだろう。ぼくもこの参考文献から、いくつか有益な情報を得られた。

ぼくの興味関心のある十六王国時代の古代インド史については中村元の「古代インド 上」が泰斗だったが、中村元のそれが文献学の域から脱し得なかったのにたいして、本作は考古学的視点から時代考証をおこなっており、その分、文化史を把握する上で精度が増したように感じる。
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鬼神の狂乱
評価:
坂東 眞砂子
幻冬舎
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(2008-01)
コメント:1844年、土佐で起きた集団狗神憑きの記録をもとに描いた集団ヒステリーと若者の愛のお話。

そこそこホラーテイスト。だが、ちゃんと読めば歴史物(しかも史実に近い)という一品。
甲辰奇怪記」という江戸時代末期のお侍さんが、藩内でおきた集団ヒステリーを書き留めたものを小説の下敷きにしているだけあって、やけにリアルで薄気味悪い。
坂東眞砂子の功績は、「じゃあなんでヒステリーがおきたのか」「狂気はマイナス感情の発露のみなんだろうか。そこにプラス感情の発露を見出すことはしては駄目なのだろうか」という点を丁寧に描き出したこと。なるほど!と最後は思わず頷いてしまう。

ちょっと残念だったのは、史料を基にした作品だけあって、地名や登場人物が多岐にわたる点。高地県人、それも徳島との県境の人でしか「そうそう、この村はあそこよね。でこの人はどこそこの家のご先祖さんね」と空間把握できないかもしれない。でも地名や登場人物を減らせるかといえば、減らすと成立しない世界観なので、いかんともしがたいところである。GoogleMAPを片手に読みすすめよう!