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ブロックチェーンは、量子コンピューターとのカーチェイスに競り勝てるか
これは新しい時代の幕開けだ!と興奮していたら、最後にものすごいオチがあったでござる。

ブロックチェーンにまつわる興奮は別記事に譲るとして、ブロックチェーンがいかに破壊力のあるイノベーションなのか、ということを、複数の証言を元に、スクリーン照射した渾身の一作。

これは「第四の波※1」だ!ブロックチェーンによって、AppleとかFacebookに搾取されているデジタルアイデンティティを奪還できるぜ、ひゃっふー!

…と思ってたら、きわめて大きな数字の素因数分解をものすごい超高速で実行できる量子コンピューターってのがあって、ブロックチェーンの公開鍵はだいたい解けちゃうよ、てへ。ってさ。

※1 アルビン・トフラーの「第三の波」の次、ってことです

Farewell to all brokers!! or…
Welcome to BIG BROTHER
with the quantum computer??


すでに中国ではBIG BROTHERが本格始動しており※2、ジョージ・オーウェルの世界観が急速拡大中。しかも、そこに量子コンピューターが投下される。中国でのブロックチェーン技術、関連特許数は世界トップだし※3、杭州にブロックチェーン工業団地なるものも作ってるみたいですが※4。ある程度の仕組みが整ったタイミングで、量子コンピューターの制御下にごそっと入らないだろうか。ブロックチェーン関係者 in China の生の声をぜひとも聞きたいところ。

とはいえ、ブロックチェーンであれ、量子うんたらであれ、今後はあらゆるものに履歴がつく流れは必定。その履歴をAIが自動的に引っ張ってきて業務のマッチングもしちゃう。それは、仕事の要件定義が非常に求められるシビアな世界なわけで、エコシステム※5が成長する分水嶺が、発注能力の有無に収斂されそうな予感ビンビンです。YESとNOの単純な質問項目で構成されたタスク設定を、現在業務の海から拾ってくるのはなかなか歯ごたえがあって、顎が疲れそう。。

※2 14億人を格付けする中国の「社会信用システム」本格始動へ準備  
※3 China leads blockchain patent applications       
※4 中国、ブロックチェーン工業団地開所、100億元のファンド創設も発表
※5 もはや「組織」という枠組みが古いような気がして、エコシステム(生態系)という言葉を使ってみました



また、DAppを利用したリアルタイム在庫管理で、商品の受注が自動的に工場に入ってくるという近未来。これまで人間がやっていた折衝・交渉という概念はなくなり、冷徹なデータによって、最適解が弾き出されます。
しかも、人間はネット上の自律エージェントとデスマッチ。
非生命のアプリが繰り出す恒常的パフォーマンスに霊長類最強のホモ・サピエンスは勝てるのでしょうか。ぼくはちょっと自信ない。。

あと、個人的なオススメは、巻末の若林恵さんによる自作自演インタビューです。
自己ってこんなふうに客体化できるんだ!と新鮮な驚きとともに、グイグイ引き込む文章力に舌を巻きすぎて、脳内口中でサクランボの枝をクロスできました。この若林流表現手法、どこかで試すぞ。うむ。

以下、雑感。

2014年にフロリダのウォルト・ディズニー・ワールドで世界初のブロックチェーン結婚式が行われた。婚前契約をブロックチェーンに書き込む例が出てきた。そして、同僚の河崎くんが2018年4月にやはりブロックチェーンに結婚の履歴を残している。なんだかぐっと身近に感じる。

あと、この本に書いてある、ブロックチェーンを阻む壁(課題)は2018年5月現在で、どこまで解消されているですかね。教えて、佐藤くん!

以上、ごちそうさまでした!
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「自然淘汰」無双、人類も洗礼を受けた・・らしい?
本書が比較人類学にカテゴライズされるとなると、頻繁に出てくる「合衆国東部」という表現って適切なんでしょうか。

サピエンス全史を超えられなかった
ある白人から見た人類史っぽいやつ


表記が並列化されてなかったり、著者の主観から見える事実の森の中を連れ回される感じがして、正直、頭にあまり入ってこなかったです。はい。。

例えば、「食糧生産が独自にはじまった地域」で上がっている地域の表現。

 ・肥沃三日月地帯
 ・中国
 ・中米
 ・アンテス地域及びアマゾン川流域(?)
 ・ニューギニア?
 ・エチオピア?
 ・サヘル地域?
 ・西アフリカ?

国名と地域名が混在、他の地域の抜け漏れ(十分な考察が言及されないまま)などなど。MECEじゃないよう!と涙がこぼれました。
「食糧生産が独自にはじまった地域」とタイトルを書いているわけですから、中国ではなく「黄河・長江流域」とか、中米でなはなく「ユカタン半島周辺」のように表記してほしかったです。


ちなみに、サピエンス全史と共通するのは、

 ・人類が進出したことで、大型生物が絶滅した
 (本質的な環境破壊を止めようと思うと、人類の生存領域を狭めないといけない)
 ・農耕民が狩猟採取民より貧しくなった

の2点。


興味深いなと思ったのは、同じ祖先をもつマオリ族モリオリ族の話。
環境要因から、一方は余剰生産がてき、複雑な社会構造をうみだし、一方は単純な社会構造をうみだしました。住んでいる環境によって、富の貯蔵がかわる、という至極当たり前の事実だけど、確かにそうだよなと事例を見せてもらって納得度アップです。

あと個人的に、どうしても組織論と絡めたくなるんですが、イチゴが自然淘汰の過程を経て現在の形になった話。
やはり、自然淘汰は原理としては最強で、逆らいようがありません。
イチゴのように組織も自然淘汰の原理のもとで進化をするわけで、誰かが意図して進化させようとしても、長い目で見ると、生き残れないのだろうなと思いました。園芸種の花とか、人間いなくなったら、環境変化に適応できず、すぐに絶滅しそう。

下巻も新たな地平線が見えそうにないので、読み止めです。

以上、ごちそうさまでした。
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無理ゲー「少子高齢化」の裏攻略本
つかもっちゃん高橋さん、レコメンド。

編集によって殺された「超AI時代」が落合氏とのファーストインパクトだったので、期待値のハードル低めで読んだのですが、目から鱗が出てきたよ!(評価は3ですが)

一言でいうと、

人口動態嘘つかない、という現実の荒波の中で
うまく息継ぎできていない人に贈る、救命道具



特徴は、少子高齢化の現場で「このゲーム、詰んでる・・」と絶望の汗を流している人に、精神衛生上欠かせない知的塩分補給をしてくれる点です。


少子高齢化は危機ではなくチャンスだ!(ロボットだ!)

という著者の世界観は多少のツッコミどころはあれ、希望の灯火になることでしょう。

文章も非常にアーティスティックで、思考がおねむの人を叩き起こすのに十分なカフェインを含有。読書って基本ダウンローディングだと思うんですけど、本書はちがう。長く読み継がれてきた古典のように、文章を噛み締めるごとに「〇〇な場合どうだろう」「自分に当てはめるとどう見えるだろう」と、疑問文が頭の中を駆け巡ります。効力は第4章までだったけどね。

あと、見所は注釈。
読者がすでに知っていること、自力で調べられることについても、著者なりも視点でキーワードを要約しており、一見の価値あり。テレ東×池上彰「選挙特報」のテロップ紹介文を彷彿とさせます。ちなみに、本居宣長は「古事記、源氏物語、日本語の研究をし、「もののあはれ」というコンセプトを提示しました」。


IT鎖国によって、アリババやテンセントが生まれた、という指摘にも「言われてみれば!」と。10年前は、「中国政府、時代に逆行してんな。クスクス」と思ってたんですけど、世界で勝負できる企業を育てる選択肢として、非関税障壁は威力絶大だなと咀嚼しました。とはいえ、中国のような自前巨大市場をもっていて、国際法無視の図太さがないといけないんでしょうが。



もうちょい、感想、言わせてください。


士農工商を日本版カーストと定義し、最下層カースト「商」に分類される金融やメディアなどを持ち上げる日本の超拝金主義は問題だと、著者は指摘しているんですが、読んでいて、新興財閥のダークホースだった鈴木商店金子直吉を思い出しました。
金子も、金融は虚業である(事業ではない)として、グループ傘下に銀行を作らず、台湾銀行をメインバンクにしました。が、昭和恐慌で資金調達に難儀し、鈴木商店は潰れます。そんな歴史の一事実を顧みると、ある程度の商は必要だよなと思いました。もちろん、著者は商の存在を否定しているわけではなくて、「みんな商に偏食しすぎ!」が本論なんですけどね。仮想通貨関連業とか、商カテゴリーに入るのでしょうか。


他、思ったことを列記。

・人口減社会が機械化に対するアレルギー、ハレーションを抑える、という視点は説得力あり。そして、そんな人口減少社会の中で揉まれたロボティクス関連産業は輸出の目玉になる、という展望もちょっと希望を与えてくれる。

・トークンエコノミーが非中央集権の魁になる、という議論は、インターネットが勃興した時とどこがちがうのだろう。

・基本的に超人の発想なので、例えば「教育」の章で提言していることをメジアン以上の家庭ができるかというと疑問。著者の意図は「こんな学び方もありじゃないか」という問題提起でよいのだけど、その根拠である自身の幼少教育が貴族的すぎる。3歳から6歳まで、月曜はピアノの家庭教師につき、火曜日は東大の院生に算数を習い、水曜日は公文式、木曜日は実験教室に通って、金曜日は隣に住んでた画家と一緒に絵を描くとか。「ヨア、ハイネス」って思わず言いそうになっちゃった!



以上。ごちそうさまでした。
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「やりたい!」とつい思う場を作るのって超大事!
明確なビジョンやカリスマ的経営手法を持った
超人リーダーが組織を引っ張る時代は終わった


という現代の暗黙知を反芻したい人、召し上がれ。

マネジメントの手を離れ、メンバーが組織全体の最適解に自律的に近づいていくために、リーダーはどのようなマインドセットをしたら良いか。という「ワンマン経営変えたいあるある」がわかりやすい言葉で調理されてます。ゆえに、読了感、喉越しが半端ない。

つい10年くらいまでは、明確な経営目標(KPI)を作成し、それをベースにメンバーを管理するのが、美しく無駄のない経営と賞賛されました。

でもさ。
それっていまも、やる意義あるの?

と「?」マークが自然点灯するような論理展開のもと、中央集権的な指示命令系統だと、もう現場の変化のスピードに適応できないよね、と著者は説きます。

個人的に「そうだよなー」と思ったのは、2:6:2の「パレートの法則」にたいする新しい見方。
パレートの法則は、営業会社で「成果も上げずに、組織にぶら下がってる下位20%はお払い箱だ!」と死の宣告を発動する時によく使われるアイテムですが、2:6:2はなにも「成果」という物差しだけに当てはまるわけではないのですよね。
成果は下位20%でも、例えば、同僚のメンタリングでは上位20%のようなメンバーもいる。数字だけでは単純にメンバー個人の総合価値は算出できない。

組織のメンバー全員に100%の完全さを要求するのではなく、その人のどこがレベルの高い20%にあるのかを調べ、そこを伸ばしていくほうが組織にとってもプラスですし、本人もやりがいや幸福感を感じるのです。


という高間先生の大人な語り口には、「ガッテン!ガッテン!ガッテン!」しか押せませんでした。

(ちなみに、これも落ちでよく使われますが、下位20%の首を切っても、残った組織内で、また新たに2:6:2の構造が生まれるのもパレートの法則の罪深いところ)


本書で引用されているハーツバーグの二要因理論
 ・仕事そのもの
 ・達成感
 ・認めてもらえること
 ・成長感
のような、やる気を高める因子。仕事や達成感は当事者だけで精製できそうだけど(内発的動機)、成長感や認めてもらえることは、客観的存在が欠かせないので、当事者だけでは無理。この「成長を実感できる」「認め合う」というのが、これからのチームの存在意義になるんろうなと感じます。


最後に。

メンバーが自発的に行動し、緩やかに連携しながら、組織の発展に貢献する場ってどうやって作れるんでしょうか。
やらされる、という外発的動機ではなく、「やりたいんだ」という内発的動機に切り替えるターニングポイント。

個人的には、それは「動機を発露してもとりあえず受け止めてもらえる」場の安全性なのかなと感じました。各人が迷子になっても「どうした?」「どうした?」と指差し確認できる安全地帯。頼れる母港。寄港地がないと大航海はできませんものね。

ということで、チームは大事にしましょう。
ごちそうさまでした。
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ビジネスマンによる、ビジネスマンのための、ビジネスマンのデザイン思考
評価:
佐宗 邦威
クロスメディア・パブリッシング(インプレス)
¥ 1,706
(2015-08-04)

ティール組織で編集・校正のお手伝いをさせていただいた嘉村賢州さんの盟友、佐宗さんの本がたまたま図書館の本棚にあったので、拝読。

ロジックによる思考の整理整頓に
限界を感じたあなた、必見!


2015年発刊と、鮮度は落ちるものの、著者がなぜデザイン思考を学ぶに至ったか経緯が優しく書かれていて、感情移入しながら、各種フレームワークも学べる、という一品。

chapter2まで読んで、フレームワークの量が増えてきたので、一旦、今の自分の業務に使いそうにないので、ページをめくるのを止めました。
フレームワークが必要になったら、また手に取ろう。

個人的にグッときたのは次の挿入文。

「計画を立てるのに必要なコストはどんどん上がっているのに計画自体はそれほど性格でも有益でもありません。しかし強力なコンパスを持つことで目指すべき方向がわかりました。地図よりもコンパスを。 伊藤穰一(MIT medialab所長)」

最近、一年後のKPIを立てることの有効性に疑問を感じ始めてきたので、かみごたえがあります。

ごちそうさまでした。
メンツにこだわって現場を見ないリーダー、ヤダー怖いー
リーダーに恵まれなかったら
オー人事、オー人事


ってのは何も21世紀だけの問題じゃなかった。

神聖ローマ帝国皇帝カール5世しかり、その後を継いだスペイン王フェリペ2世しかり、現場知らないのに強気なリーダーの実害がやばい。しかも、どんなに現場を引っ掻き回しても、最終責任をとるのはその家臣。なんなんだ、そのゲーム。

潔く、現場を知っている人に指揮権は譲りましょう。
(そうならなかった時の被害状況は後述の引用部分を参照のこと)

上巻では無双っぷりを発揮していたサラセン人海賊ですが、下巻になるとジェノヴァからキリスト教側のドン、アンドレア・ドーリア提督が出てきます。ほぼ常勝だったこともすごいドーリアですが、何よりすごいのは引退年齢。少なくとも、84歳で、海賊の本拠地を叩きに行った記録が残ってます。どんな体力してるんや。。

最後に。

「良識とは、受身に立たされた側が口にする言葉であり、行動の主導権をにぎった側は、常に非常識的に行動するものである」

というプレヴェザ海戦の直後、ヴェネツィア外交官が放った言葉が胸にしみます。
日本を取り巻く環境がきな臭くなってますからね。

こちらも2・3日で読み終えられました。ごちそうさまです。
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「駆逐してやる!!この世から、一匹残らず!!」をお互いに言い合う世界
驚き、驚き、そして、驚き!

中世・近代ヨーロッパにメッチャ興味ある人、必見。
この一冊を読むことで、歴史の周縁部においやられがちな、地中海沿岸のヒストリー(主に海賊怖い、の一事)に明るくなります。

「オレ、中世・近代のヨーロッパ史、そこそこ知ってるし」

とピノキオだったぼくの鼻が見事にへし折られました。ボキッ…

泥沼の宗教戦争とか、百年戦争とか。近代の主役は大航海時代を制したヨーロッパだ!と思っいたら、それはヨーロッパ北西岸の話。地中海に面する南側はフランス革命頃まで、庶民は海賊に怯える日々を暮らしていたのでござる。という衝撃。

※北アフリカ西岸の浴場(強制収容所)に拉致されたキリスト教徒を救う活動の終了が西暦1779年。フランス革命の10年前。救出騎士団の設立が1218(1222年)だから、およそ600年近く地中海北西部沿岸に住む人が拉致されていた、という

地図上ではキリスト教圏なのに、領地が定期的に海賊の略奪に遭って、内陸にある山岳部でさえ安全ではなかった。ローマ法王だって2万5千枚の銀貨を渡して「襲わないで!」と嘆願していた。

イタリア半島だけでなく、南フランス(プロヴァンス)まで、沿岸部分は海賊になで斬りされていたのも衝撃ですが、法王が在しますローマの北西、街道一本でつながっている海港チヴィタベッキアや北東のサラチネコでさえイスラム勢力に占拠され、法王庁領土も狩場にされていたというのにも衝撃を受けました。


どれだけ海賊無双なんだ。。

しかし、略奪の波状攻撃で動産・不動産にかかわらず壊滅的な被害を与えたにもかかわらず、それで満足してくれない海賊。奴隷市場に供給する人狩りをするために、荒野に彷徨う老略男女をかっさらって行きます。なんだか進撃の巨人から逃げる人間、みたいな構図が600年近く、地中海世界ではあったわけですね。

ちなみに、現象に対する考察や込み入った分析は、本書執筆前に刊行されている諸書籍に書かれているので、本作は事実を抑えてスラスラと歴史の針が進んでいく印象です。

よって胃もたれもなく、2日で読み終えました。
ごちそうさまです。
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「頼むからちょっかい出さないで」と元ローマ人は言ったにちがいない
ついにシリーズ最終巻。
読了感を誰に伝えたいとマイクを向けられたら、歴史シミュレーションゲームに熱中している全高校生に捧げたい。

領土が広がる=社会が進歩する
じゃないからーーー!!!



国が勃興し、拡大していく過程に興奮を覚えた世界史の授業。
家でやりまくった「信長の野望」や「大航海時代」。

領土拡大=進んだ文明社会の伝播と算盤を弾いて、「領土拡大いいじゃん!」と安直に考えていたわけですが、この巻を読み終えて、悔い改めました。アーメン。


ローマの誕生から消滅まで、著者が給仕する一皿一皿を吟味、反芻しながら感じたことは、領土の広がりとそこで暮らす人の豊かさとは正比例しない、ということ。本巻ではタイトルの通り、「ローマ世界の終焉」に向かっていく顛末が書かれているわけですが、最終盤、東ローマ帝国による元西ローマ帝国領土の奪還運動が酷い、の一言に尽きます。

世界史で誰もが「大帝」つきで覚える、東ローマ帝国皇帝ユスティニアヌスによる北アフリカ・イタリア半島の再領有(ゴート戦役)は、蛮族からローマ同胞を解放する善行だとずっと思ってました。そう、世界史の授業で習ったし。

が、現実は破壊に破壊、そして破壊。

ハードのみならずソフト面でも、なんとか残っていた西ローマ・コミュニティを破壊しまくります。

ユスティニアヌスが茶々を入れるまでは、イタリア半島には蛮族による平和、「パクス・バルバリカ」がありました。オドアケル、そして東ゴート王国のテオドリックと、支配者はローマ人ではなくなりましたが、蛮族のリーダーの下、元ローマ人たちは生産性をもちなおします。侵入して生活基盤をぶっ壊していた蛮族が主人におさまったことでむしろ治安が安定したこと、行政・経済システムは既存のローマ人コミュニティの上で運用されたことなどから、末期の西ローマ帝国時代より、元ローマ人の生活は豊かになりました。

が、そこにユスティニアヌスに背中を押された将軍ベリサリウス登場。

ありとあらゆる社会資本の破壊がスタートします。

彼が登場したことで、それまで共存関係にあった、ゴート族と元西ローマ人、東ローマ人(実質ギリシア人)と元西ローマ人、ゴート族と東ローマ人が先の見えない抗争に突入。イタリア半島は荒廃。そして、そのまま「暗黒」と呼び声高い中世へとダイブします。

古代でありながら大都市にして疫病予防に一役買っていた上水道の歴史にとどめを刺したのもベリサリウス。ゴート戦役による、上水道の軍事利用が原因でした。

これだけ頑張って西ローマ帝国領土を再服した東ローマ帝国もゴート戦役で体力を使い果たし、その後やってくるイスラムの大波に飲まれて大破します。ユスティニアヌスが領土欲なんか出さずに、東ゴート族ヴァンダル族とうまくやってたら、たくさんの人が死なずに済んだのに、と思うと、やるせなさで胸がいっぱいになります。胸焼けしそう。というか、歴史ってそんなものか。

読みながら、アメリカの不法移民に思いを馳せました。
「やっぱ、お前は蛮族だ!」といって殺された西ローマ最終盤の救国の英雄スティリコのように、彼らも異国アメリカの地でアメリカ国民同様に共同体に貢献しようと必死です。が、「やっぱりお前は不法移民だ!」といって強制送還されそうです。スティリコと同じ運命を辿るのか。それとも初期帝政ローマのように、一定量、共同体への責務を果たしたら、正式メンバーとして受け入れられるのか。見守りたいと思います。

ごちそうさまでした(この後、「ローマ亡き後の地中海世界」に向かいます)。
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オススメの本、教えて!病人でも倒れない年間読書計画

完全リモートワークで日常にリズムが生まれ、精神的な余裕も生まれてきました。
すると、これまで物陰に潜んでいた、インプット欲がむくむくと。出てきます。

書籍に凝縮される、体系立てた知識のインプットって大事ですよね。
本を読むと、

 ‘の中が整理される
 言葉や思考が研ぎ澄まされる
 新しい世界の存在を知る
 い茲蠢和づなアウトプットが出せる

など、いいことずくめです。

でもまてよ。
リミッター解除して、とめどなくインプットを始めると、体調が悪くなります。
これ、いつか来た道。
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神様「正当性くれってたって……そのオーダー。重いよー」
組織を機能させる「正当性」について、悩んでいる子羊に捧げる一冊。

とどのつまり、

組織構成員の「権威」にたいする納得が
重層的に積み上がらないかぎり、
どこが権威を発行しても、「正当性」は揺らぐよねー


というお話。

ミラノ勅令を出したコンスタンティヌス大帝とその息子、親族を殺しまくったコンスタンティウス。その殺戮から運良く逃れて、跡を継いだユリアヌス+ゲルマン皇帝時代、自然死よりも殺される皇帝が多かった3世紀、ローマの乱れっぷりが書かれてます。

政局の安泰を考えた時に、権威(統治の正当性)の発行元を「市民と元老院」といういつ裏切るかわからない人間から、アンタッチャブルな絶対神に変えることで、政権、安定するんじゃね?と期待したコンスタンティヌス。

神意には人間、逆らえない!
権威の正当性が揺るがない!

と、700年後の王権神授説の露払いみたいな現象が起こしたわけですが、けっきょく、コンスタンティヌスの「神様に権威もらったら、政権安定!万歳!」と叫んだチャレンジは失敗します。あとに残ったのは、より他者にたいして不寛容になった共同体ローマと、脱税や共同体責務から離脱したい人がなだれ込んで肥大化したキリスト教コミュニティー。

この統治の正当性。今もお隣の国々ではどうやって調達するか絶賛煩悶中なわけで。
洋の東西、古今を問わず、「正当性」とは根深い問題なんだなと改めて咀嚼です。

あと、偶像をかたっぱしからぶっ壊した歴史、ここにもあったんだ。。

ちなみに、コンスタンティヌスが水を引いたキリスト教コミュニティーも、だれが神意を正しく解釈してるのか、教義解釈ビーチフラッグバトルに突入し、言霊の強かったカトリックがしばらくチャンピオン。その後、カルバンやルターが出てきて、泥沼の宗教戦争へと突入していきます。正当性、業が深すぎる。

ご・ごちそうさまです。。
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